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身体に必要な油と不必要な油を見分ける

 アメリカには、“We are what we eat”と言う言葉があります。
 この言葉の意味には、私たちが生を受けた日から、食べ続けてきたものの成分がその体を作っているという意味です。
 なので、私は人間が生きるために必要なこと、つまり「何を食べるか」ということを安易に考えず、今こそ見直すべきであると考えます。

 その辺りの詳細は、「健康を害する食べ方、食べ物」に譲るとしまして、ここでは、油について書いていこうと思います。


◆ トランス型脂肪酸について ◆

 2010年に入り、「トランス脂肪酸」について、警告を発する新聞記事が増え始めたことをご存知でしょうか?
 アメリカでは、1992年にニューヨークタイムズ紙の1面で、「マーガリンやショートニングは飽和脂肪酸と同じようにコレステロール価を高くし、心臓病の原因になりうる」という見解がアメリカ農務省より発表されています。


 ここで、20年ほど前から、このトランス脂肪酸のことを警告されてこられた杏林予防医学研究所所長の山田豊文先生のお言葉を拝借したいと思います。
 「マーガリンは、オメガ6のリノール酸が過多の食品であるため、オメガ3との摂取バランスを極端に乱してしまうことになります。それだけでも健康上のデメリットは非常に大きいものですが、最大の問題は「偽物のバター」であるということです。

 マーガリンは、水素添加という技術を用いて製造されています。一般の植物油などを見れば分かる通り、不飽和脂肪酸は常温で液体です。これに120度〜210度の高温・高圧状態で水素ガスを反応させるという化学的な方法により、植物油であるにも拘わらず、常温でやわらかいバターのような状態という、何とも不自然な物質に無理矢理変化させることが可能です。これが¨プラスティック食品¨の異名を持つマーガリンの正体です。

 そして加熱、もしくは意図的な水素添加の過程で、トランス型脂肪酸という不飽和脂肪酸の¨変種¨が作り出されます。これは自然界にはほとんど存在しないものです。トランス型脂肪酸による危険性の中でも一番よく知られているのは、血液中の悪玉コレステロールを増やして、善玉コレステロールを減らすことにより、心臓病のリスクを高めることです。
 またマーガリンの一番の問題点は、もとが植物油でも、その油の性質が自然に存在しないタイプに変化してしまっている。しかも、スムーズに代謝できないので、エネルギー源として効率が悪く、体内に蓄積しやすいということなのです。

 マーガリン以外にも、トランス型脂肪酸はその名前を変えて様々な食品に含まれています。買い物をする時に、食品のパッケージに貼られているラベルを注意して見るようにして下さい。クッキーやケーキ、チョコレート、菓子パン、コーヒーフレッシュをはじめ、多くの加工食品に「マーガリン」や「ショートニング」、「加工油脂」、あるいは「ファットスプレッド」などと書かれていることにお気づきになったでしょうか。これはすべてトランス型脂肪酸が大量に含まれていることを意味します。
 ほかにも、市販のサラダ油やマヨネーズ、ドレッシングの大半にもこういった水素添加された油が用いられており、トランス型脂肪酸の摂取源となります。

 日本では、少し重い腰を上げようとする動きがありますが、このトランス型脂肪酸の危険性に対して全くといっていいほど注意が払われていません。しかし、アメリカではずいぶん昔から警告が発せられ、消費者団体などによって「トランス型脂肪酸をアメリカから無くそう」というキャンペーンが行われているぐらいです。
 このキャンペーンでは、食品業界に対してトランス型脂肪の使用を止めるように、消費者にはトランス型脂肪酸を含む食品を購入しないようにそれぞれ呼びかけており、さらに食品医薬品局(FDA)に対しては、水素添加された植物油の使用を法律で禁止することまで要請しています。

 このキャンペーンの成果として、大手食品メーカーは製品中のトランス型脂肪の量を削減しつつあり、2006年から、あらゆる食品にトランス型脂肪の含有量のラベル表示が義務付けられました。ニューヨーク市やカリフォルニア州などでは、飲食店のメニューにおけるトランス型脂肪酸の規制が厳しく行われていますし、アメリカ医師会からはトランス型脂肪対策への支援も明言されています。
 また、ヨーロッパ諸国、韓国、台湾などでも、トランス型脂肪対策が国家レベルで積極的に推進されています。日本でも出来るだけ早く、これらの国々にならって対策を打つべきです。


◆ 日本と韓国の大きな認識、取り組みの違い ◆

 取り組み事例として、韓国では、小学校、中学校、高校で提供される給食において、油脂類や糖類、食品添加物などの使用を制限し、米を中心とする季節に合わせた旬の食材を用いることにより、将来的な生活習慣病の予防策が講じられています。
 しかも、学校給食法で義務づけられていて、定期的に行われるチェックで基準に達しない場合は、給食会社や栄養士が処罰の対象になるほどです。

 また韓国政府は、菓子や炭酸飲料、カップラーメンやハンバーガーといった、いわゆるジャンクフード類に対する厳しい規制も検討しています。2009年3月から、やはり小学校、中学校、高校とその周辺店舗でこれらの食品の販売を禁止するほか、2010年10月からは、午後5〜9時の間のテレビCMも禁止するとのことです。

 これらの姿勢を見る限り、韓国政府が自国の惨状に対し、よっぽど強い危機感を抱いているのでしょう。しかも、それを幼少期から行うことの重要性もよく分かっているようです。食品業界や放送業界の猛烈な反発もあるようですが、巍然とした態度を貫く韓国政府は素晴らしいと思います。」と書かれています。

 また、日本の現状を表す、集中力がなくて、いじめや非行の問題を起こす子供は大体、砂糖漬け、ファーストフード漬けになっていて、問題のある子供の多くは、母親の手作りの料理を食べることがないか、あるいは食べる機会がかなり少ないのです。
 毎日ジャンクフードを食べることで、多くの若者は脳の機能が低下し、刹那的な行動に走っている可能性があるのです、とも書かれています。。


◆ 対策と実践法 ◆

 では、どうすれば良いのでしょうか?
 その取組方法をお伝えしたいと思います。

 まず、不飽和脂肪酸のアンバランスが、問題としてクローズアップされています。
 不飽和脂肪酸は、オメガ3系(亜麻仁油や青魚に多い)とオメガ6系(リノール酸、紅花油など市販の植物油に多い)に分けられ、本来、その2つの不飽和脂肪酸の摂取比率は1対2から1対4程度が適切であるといわれているのですが、現代人は欧米型の食生活が中心となっているために、揚げ物やドレッシングなどでリノール酸を摂りすぎ、ドコサヘキサエン酸(DHA)などオメガ3系の摂取量が少なくなっています。

 その結果、摂取比率がオメガ6の10〜40に対してオメガ3の1という、つまり1対10、あるいは1対40に及ぶ場合も懸念されるぐらい、異常な割合になっており、アレルギーや心臓病が増えているのではないかと言われています。
 それを正すには、伝統的な日本の食事であれば、この2つを理想値で取ることができるのですが、そのキーワードは「まごわやさしい」という7種類の食材になります。

 また、「人を治す油」亜麻仁油を、大さじ2杯、毎日取ることをお勧めします。ひとつひとつチェックしていくと分かるように、高品質の亜麻仁油は「よい食べ物の5つの条件」を全てクリアする、非常に質の高い食品です。


 最後に、山田先生が考案された「まごわやさしい」について、説明して終わりにします。

◆ まごわやさしい ◆

 プロ野球選手、工藤公康投手やメジャーリーガーの松井外野手などが、実践しています。
 そのキーワードを、一つずつ紐解いていくと、

ま = 豆
ご = ごま
わ = ワカメなど、海藻類
や = 季節の野菜
さ = 魚、青背の魚
し = しいたけなど、キノコ類
い = いも類

 と言う風になり、主食の玄米や雑穀米などに、発酵食品に、主&副菜となる「まごわやさしい」7種類の食材を万遍なく食べることで、健康になれると言うことを意味しています。
 これこそ、日本人が古来から食してきた物と言っても過言ではありません。
 もちろん、自然海塩(海水塩)も欠かせませんが。

 スタミナと言えば、現代人は、すぐに「焼き肉」という輩も多いが、工藤投手が新聞にも書いていましたが、昔の大投手たちは、300勝するような頑丈な身体を持っていたのは、昔ながらの日本食を食べていたからだと。

 そういう意味で、「まごわやさしい」というキーワードを忘れずにいたい。 

 また、「クスリになる食べ物」もご参照下さい。  


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